リノベーションへのきっかけ
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地域おこし協力隊の活動を通して感じた「みんなが集える場所が欲しい」という思いをいろんな場面で話していると、ある物件を使ってもいいと言っていただく機会がありました。
その物件は、海、駅、病院、役場からも近く、商店街にありました。
70年ぐらい前の建物で、30年間ほど空き家になっているとのこと。中を見せてもらうと、なかなか暗い雰囲気。でも柱の色が素敵で、少し手を加えれば魅力的になる予感がしました。
せっかく貸していただけることになりましたが、それをどう生かしていいかわからないまま、時が過ぎていきました。
わからないことからスタートするって、とてもエネルギーが必要だと思います。個人差があるのかもしれませんが、私はわからないまま動くことができなくて、手を付けないか、調べまくるかのどちらかになってしまいます。
このころ、協力隊として2年が過ぎ、任期後にどうするかも含め、不安で結論が出せないまま、この物件に手を付けていいのか悩むだけで行動に移せない日々が続きました。
物件を見せてもらってから長期間放置してしまいました。
…だって怖いんですもん。
こんなことができたらいいなーという思いはあっても、お金をかけて手を加えれば、それを無駄にしてはいけないと思ってしまう。でも私には地方の商店街の物件で生計を立てられる自信がない…。
お金をかけずにリノベーションできるものなのかな…。
ぐるぐるぐるぐる悩んでいました。
そんな私を見かねた上司から、岩手県立大学の地域協働研究に応募してみたらとのアイディアをいただきました。ダメもとで、でも何度も書き直して、自分のできる限りの提案書を提出したところ、思いがけず採択されました。
応募チーム名は「見世(みせ)を始める会」としました。メンバーは私が日ごろ困ったときに助けてくれる地域の仲間です。
岩手県立大学の学生と先生が洋野町に来てくれました。岩手県は広く、盛岡市から洋野町までは車で片道2時間半もかかります。この日はこの先、どのように進めていくかの話し合いと顔合わせです。
私は自分が進めなければ!と緊張していましたが、「まぁゆっくりやりましょう」という先生の雰囲気がとても心地よく、なんだか面白くなりそう♪と感じ始めていました。
地域づくりは、これをやる!と決めずに、動いていくうちに徐々に決まっていくこともあるとの話をいただき、少し肩の力を抜くことができました。
気づけばこの日は私が初めて物件を見せてもらってから11か月も過ぎていました。ずいぶん長い間手を付けられずにいたんですね…
後日、職場での有志を募って大掃除。畳を上げると40年以上前の古い新聞紙と囲炉裏のようなものも出てきました。
窓も拭きました。一気に室内が明るくなります。雑巾はあっという間に真っ黒。
1枚足りないと思っていた雨戸も奥から出てきました。1枚だけとてもきれい!
途中に数人来てくれたりもしました。これがリノベーションに向けて動き始める大きな一歩でした。まだまだこれから生まれ変わっていく建物です。この時はまだ名前もなくて、「あの空き家」と呼んでいました。